歯科医院のホームページや治療説明で、インレー、アンレー、クラウンという言葉を聞くことがあると思います。

いずれもむし歯治療で用いられる詰め物、被せ物の種類ですが、専門用語で違いが分からない、どんな時に使うのか等、疑問に思う方は多いはずです。

ここでは、インレー・アンレー・クラウンの違い、それぞれがどんな状況で使用されるのか、素材の選び方まで分かりやすく解説します。

■インレーとは？

◎小さめのむし歯に使う詰め物

インレーは、むし歯で歯を部分的に削ったあと、その穴をふさぐために入れる詰め物のことです。

歯の一部のみを覆う形で、比較的小さなむし歯に使用されます。

特に隣接面を含むむし歯治療の際に、外れにくい詰め物として利用されることが多いです。

◎インレーの特徴

歯の削る範囲が小さく済むため、歯へのダメージが少ないのがメリットです。

天然歯に近い色のセラミックインレーや、銀色の金属を使うメタルインレー、保険適用のコンポジットレジンインレーなど、素材によって見た目や耐久性が異なります。

◎使用されるケース

• 小さめのむし歯

• 歯の噛む面の一部分だけが欠けた場合

• 歯の形を大きく変えずに修復したい場合

■アンレーとは？

◎インレーより少し広い範囲を覆う詰め物

アンレーは、インレーとクラウンの中間に位置する治療で、むし歯の範囲がやや広い場合に使用されます。

歯の噛む面全体や側面の一部まで覆うように作られるため、部分的な被せ物と呼ばれることもあります。

◎アンレーの特徴

インレーよりカバー範囲が広く、噛む力がかかる部分をしっかり補強できるのが特徴です。とはいえ、歯全体を削るクラウンよりも健康な歯の部分を残せるため、歯質の保存という面では良い選択肢です。

◎使用されるケース

• 中程度のむし歯

• 噛む面の広い範囲が破損している場合

• クラウンにするほどではないが強度が必要な場合

■クラウンとは？

◎歯全体を覆う被せ物

クラウンは、むし歯が大きい場合や歯の強度が不足している場合に、歯全体を覆う形で装着する被せ物のことです。

歯をぐるりと覆うため強度が高く、噛む力が強い人や根管治療後などに多く使用されます。

◎クラウンの特徴

天然歯のような見た目に近づけることができるセラミッククラウン、耐久性が高いジルコニアクラウン、保険適用の金属など、素材によって大きく性質が異なります。

欠損した部分が多い場合でも形や機能をしっかり回復できます。

◎使用されるケース

• 大きなむし歯

• 歯の壁がほとんど残っていない状態

• 根管治療を行った後の歯

• 歯の割れや破折がある場合

■インレー、アンレー、クラウンの違いをまとめると？

◎削る範囲が小さいのがインレー

小さなむし歯で歯の一部分のみの修復に向いています。

◎中程度で強度が必要な場合はアンレー

歯の噛む面全体や側面までカバーしたい場合に使用されます。

歯科医院によってはアンレーは対応していない場合もあります。

◎歯のダメージが大きい場合はクラウン

歯全体を守りたいときに選ばれる強度の高い方法です。

■素材選びのポイント（セラミック、金属、レジン）

◎セラミック

見た目が自然で変色しにくく、長期的な耐久性も高いのが特徴です。

強い衝撃には弱い傾向がありますが、前歯から奥歯まで幅広く使用できます。

◎ジルコニア

非常に硬くて丈夫な素材で、強い噛む力にも耐えやすいため奥歯の被せ物として選択される傾向があります。割れにくく長持ちしやすいのがメリットです。

見た目も白く、金属アレルギーのリスクがありません。

◎金属

丈夫で比較的安価ですが、見た目の問題や金属アレルギーの可能性があります。

奥歯など目立ちにくい部分で適応されることが多いです。

◎コンポジットレジン

保険でできる白い詰め物ですが、耐久性や強度はセラミックに劣ります。

小さめのむし歯治療で選択されることがあります。

【詰め物、被せ物　素材やサイズには色々な種類がある】

インレーは小さなむし歯に使う詰め物、アンレーは中程度のむし歯や噛む面を広くカバーする部分的な被せ物、クラウンは歯を全体的に覆って強度を高める被せ物です。

素材や種類によって見た目、耐久性、適応範囲が大きく異なります。

自分の歯の状態に合わせた治療を選ぶことで、長く健康な歯を維持することにつながります。