ホワイトニングを受けると、なぜ歯が白くなるのでしょうか?「汚れを落とす」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実はそのメカニズムはもっと科学的な原理に基づいています。
ここでは、ホワイトニングの仕組み・原理・メカニズムを詳しく解説します。
目次
■ホワイトニングとは
◎歯の色そのものを明るくする処置
ホワイトニングとは、ホワイトニング用の薬剤を使って歯の内側にある色素を分解し、歯を本来の色以上に白くする方法です。
歯の表面だけでなく、内部から作用させることで、透明感のある自然な白さになります。
◎種類によってアプローチが異なる
ホワイトニングには、歯科医院で行うオフィスホワイトニング、自宅で継続して行うホームホワイトニング、両者を併用するデュアルホワイトニングなどがあります。
それぞれ、薬剤の濃度や処置の方法が異なります。
■ホワイトニングの仕組み
◎主成分は過酸化水素や過酸化尿素
ホワイトニングで使用される薬剤は、過酸化水素、または過酸化尿素という成分を含んでいます。
これらが分解されることで活性酸素が発生し、色素分子に働きかけて分解します。
◎歯の内側に働きかけるのが特徴
歯は、表面のエナメル質、その内側にある象牙質からできています。
象牙質はやや黄色みを帯びており、ここに蓄積した色素に作用することで、全体的に明るい印象の白さが得られるのです。
また、エナメル質表面にも働きかけ、中の象牙質の色を透けにくくする効果もあります。
■ホワイトニングの原理
◎色素分解の基本は酸化反応
ホワイトニングは、色素を酸化することで構造を変化させ、無色化するという原理です。
活性酸素が色素分子に働きかけ、より小さく透明な物質へと変えることで、光の反射特性が変わり、歯が白く見えるようになります。
◎表面清掃との違いは内部作用
歯に色がついて見える場合、表面のステイン(歯の表面の着色汚れ)の付着と、内部の変色に分けられます。
歯のクリーニングはステイン除去が主ですが、ホワイトニングは歯の中の色素分解が可能な点で、まったく異なるメカニズムといえるでしょう。
■ホワイトニングの手順
◎薬剤の塗布
オフィスホワイトニングでは歯科医師が、ホームホワイトニングでは、自身で専用のマウスピースを使用して薬剤を塗布します。
◎薬剤の浸透
過酸化水素や過酸化尿素がエナメル質を通過し、象牙質へと浸透します。
時間をかけて内部に届くことで、着色原因である色素に作用します。
◎色素の分解
薬剤から放出された活性酸素が、象牙質に沈着した色素分子を分解します。
色が変化することで、見た目の白さが増します。
◎白さの変化と定着
処置後は、オフィスホワイトニングだと即時的に白さを感じられますが、数日~1週間でさらに透明感が出るケースもあります。
ただし生活習慣により再着色することもあるため、定期的なケアが重要です。
ホームホワイトニングの場合は、2週間〜4週間ほどかけて徐々に白さを実感することができます。
※効果の出るタイミングは患者様によって異なります。
■ホワイトニングで白くならないケースもある?
◎人工歯や詰め物には効果がない
差し歯やレジン、セラミックなど人工素材にはホワイトニングの効果はありません。
周りの天然歯をホワイトニングしたことによって、逆にこれらが目立ってしまう場合は、再製作が必要となるケースもあります。
◎薬剤による変色は難しいことも
テトラサイクリン系の薬剤による着色は、通常のホワイトニングでは効果が出にくいことがあります。
対応可能かどうか、事前の診断がカギになります。
【ホワイトニングの仕組みを知って、納得の白さを】
ホワイトニングとは、ただ汚れを落とすのではなく、酸化反応によって歯の内側の色素を分解するという科学的なメカニズムに基づいた処置です。
使用される薬剤や方法によって効果は異なりますが、正しい知識と適切なケアを組み合わせることで白さを手に入れることができます。
歯を白くしたいけれど不安があるという方は、ぜひ歯科医院で自分に合った方法を相談してみてください。仕組みを理解することで、納得のいくホワイトニング体験ができるでしょう。