「マウスピース矯正ってどうやって歯を動かしているの?」
「ワイヤーを使わずに本当に歯並びが変わるの?」と思ったことはありませんか?
今回は、マウスピース矯正の仕組みやメカニズムについて、「なぜ歯が動くのか」という基本から、歯槽骨の吸収と形成の作用まで、分かりやすく解説します。
目次
■マウスピース矯正とは?
◎取り外し可能の矯正方法
マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製の矯正装置を使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。
代表的なものとしてはインビザラインがあり、治療前に3Dシミュレーションを行い、段階的に形の異なるマウスピースを交換しながら歯を動かしていきます。
◎1枚ごとの移動距離は0.25mm
インビザラインでは、1枚ごとに0.25ミリ程度の移動を想定して設計されています。
一気に動かすのではなく、マウスピースを1週間〜2週間ごとに交換しながら、少しずつ力をかけて徐々に移動させていきます。
◎骨格的な問題には対応が難しい場合も
マウスピース矯正は、歯の位置や角度を整える治療に適している一方で、骨格そのものに原因があるケース(たとえば顎の大きさのアンバランスや上下の顎の位置のズレなど)では、十分な効果が得られないこともあります。
このような場合には、ワイヤー矯正や外科矯正との併用が検討されることもあります。
適応範囲については、カウンセリング時に歯科医師の診断を受けることが重要です。
■マウスピース矯正で歯が動くメカニズム
◎歯槽骨の吸収と再生が鍵
歯の移動は、歯そのものが動くのではなく、歯を支える歯槽骨という骨のリモデリングによって起こります。
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歯にマウスピースの力がかかると、歯根と骨の間にある「歯根膜」という膜が反応します。
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この反応によって、押された側の骨は少しずつ溶け、溶かされたスペースに歯が移動します。
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歯が移動したことによって、その分空いたスペースでは新しい骨が形成されるという現象が起こります。
このように、動かしたい歯の根っこが埋まっている骨が「吸収される(溶ける)→歯が動く→骨が再生する」という流れが繰り返されて、歯は徐々に新しい位置に移動していくのです。
◎アタッチメントで歯をコントロールしやすく
歯の動きをより精密にコントロールするために、アタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯の表面に取り付けることがあります。
これはマウスピースと歯の接触面を増やし、力を的確に伝えるための“取っかかりのような役割を果たします。
アタッチメントがあることで、歯を回転させたり傾けたりといった複雑な動きにも対応しやすくなり、より効率的な矯正が可能になります。
見た目には白い樹脂でできているため、装着していてもあまり目立ちません。
◎矯正後の保定も大切なステップ
マウスピース矯正で歯を動かし終えたあとには、元の位置に戻ろうとする後戻りに備える必要があります。
矯正後には保定と呼ばれる期間が設けられ、リテーナーを装着して歯の位置を安定させます。
移動した歯のまわりの骨や組織は、完全に安定するまでに時間がかかるため、矯正期間と同じくらい保定期間を設けることが一般的です。
矯正治療が終わっても、この保定をしっかり行わなければ、せっかく整えた歯並びが崩れてしまうこともあるため、保定は矯正の仕上げとして大切なステップです。
【マウスピース矯正の仕組みを知って前向きに始めよう】
マウスピース矯正、特にインビザラインは、力のかけ方・骨の反応・歯周組織の変化といった複数の要素が連動して成り立っていて、歯槽骨のリモデリングという生体の自然な働きを利用して歯を動かす仕組みです。
矯正を始める際は、そのメカニズムをしっかり理解しておくことで、より安心して治療に取り組むことができます。
「なぜ歯が動くのか」「どうしてマウスピースで効果があるのか」と疑問を感じたときは、ぜひこの記事を参考にしてください。