マウスピース矯正のブランドのひとつであるインビザラインは保険が適用されない自費診療です。
費用が高額になりがちなことから、治療に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが医療費控除という制度。
この記事では、インビザライン治療における医療費控除の基礎知識や、どのように申請するのか、また注意点などについて詳しく解説します。
目次
■インビザラインは保険適用外の自費診療
◎インビザラインの治療費は自費負担
インビザラインは健康保険が適用されない「自費診療」に該当します。つまり、治療費はすべて患者様の自己負担になります。
一般的な費用の相場は、部分矯正で30万円〜60万円、全体矯正で80万円〜100万円以上になることもあり、家計にとって大きな負担となることもあります。
■医療費控除とは?
◎医療費の一部が税金の還付対象に
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税や住民税の一部が還付される制度です。
自身や家族(生計を同一にする配偶者や子どもなど)のために支払った医療費が対象になります。
控除額は以下のように計算されます。
医療費控除額 =(その年に支払った医療費の合計)-(保険金などで補填される金額)-10万円
この金額に所得に応じた税率を掛けます。
所得税の計算用の税率表
所得合計額 (課税される所得額) |
所得税率 |
控除額 (所得から差し引かれる控除額) |
195万円未満 |
5% |
0円 |
195万円超330万円未満 |
10% |
97,500円 |
330万円超695万円未満 |
20% |
427,500円 |
695万円超900万円未満 |
23% |
636,000円 |
900万円超1,800万円未満 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円未満 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超 |
45% |
4,796,000円 |
※所得が200万円未満の場合は、10万円ではなく
「所得の5%」が基準となります。
■インビザラインは医療費控除の対象になる?
◎治療目的であれば控除可能
インビザラインが医療費控除の対象になるかどうかの判断は、治療のためか、美容のためかによって異なります。
歯並びを整えることで噛み合わせを改善したり、発音や咀嚼の機能回復を目的とした場合は、治療として認められ、医療費控除の対象になります。
一方、単なる美容目的での矯正、例えば「少しの歯列を整えて見た目をよくしたい」という理由だけで始めた場合は、医療費控除の対象外となることがあるため注意が必要です。
ただ、気になる歯並びを改善しようとしたら噛み合わせの治療も必要になった、というパターンもあり、矯正治療は医療費控除の対象となることが多いです。
治療開始前に歯科医院で診断書や治療計画書を発行してもらうことで、治療目的であることを明確にしておくと安心です。
■医療費控除を申請するには?
◎必要な書類と手続きの流れ
医療費控除を受けるには、毎年2月~3月に行われる確定申告で申請する必要があります。以下の書類を準備しましょう。
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支払った医療費の領収書(インビザラインの治療費も含む)
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医療費控除の明細書
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歯科医院が発行した診断書(必要な場合)
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所得がわかる源泉徴収票(会社員の場合)
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マイナンバー関連書類(マイナンバーカードなど)
医療費の領収書は提出・提示する必要はありませんが、5年間の保管が推奨されています。
確定申告は、税務署への直接の提出のほか、インターネット(e-Tax)でも可能です。
■注意したいポイント
◎家族の医療費も合算できる
医療費控除では、生計を一にする家族の医療費も合算して申告できます。
たとえば、子どものインビザライン治療費を含めて家族全体の医療費が10万円を超えた場合、まとめて申請することが可能です。
また、保険金や給付金で補填された分は差し引く必要があるため、明細を整理しておきましょう。
【賢く使って、治療費の負担を軽減しましょう】
インビザラインは目立たず快適に歯並びを整える優れた矯正治療ですが、費用がネックになる方も多い治療法です。
そんなときに活用したいのが医療費控除。
治療目的であれば、年間の医療費の合計によって税金の還付を受けることができます。
控除のためには領収書の保管や確定申告が必要ですが、少しの手間で還付が受けられる可能性があります。
インビザラインを検討している方は、ぜひ医療費控除の制度も含めて費用を見直してみてください。